春闘ゼロ回答-医療・介護業界の実態-
2025年の春季労使交渉(春闘)において、多くの大手企業が労働組合の賃上げ要求に対し満額回答を示す中、医療・介護業界では賃上げ要求に対する「ゼロ回答」が相次ぎ、各地でストライキが実施される事態となりました。
医療・介護業界の現状
日本医療労働組合連合会(医労連)によれば、民間病院を含む多くの組合で賃上げ要求に対するゼロ回答や、100円単位の低額回答が多発しています。 この結果、全国47都道府県で1000を超える支部がストライキを決行し、賃上げと人員確保を訴えています。
例えば、長野県の長野赤十字病院では、看護師や介護職員ら約30人が時限ストライキを実施しました。 彼らは一律3万3000円のベースアップを含む5万円の賃上げを要求しましたが、日本赤十字社からは「財政状況などを踏まえたい」としてゼロ回答が示されました。
問題の背景
医療・介護業界の賃金は他業種と比較して低水準であり、物価高騰や人手不足が深刻化する中、労働者の生活や業務負担は一層厳しくなっています。 しかし、病院側は「経営が厳しく、すぐに大幅な賃上げに応じるのは難しい」との立場を示しており、労使間の溝は深まっています。
対策案の提案
この状況を改善するためには、以下の対策が考えられます。
1. 診療報酬の見直しと財政支援:政府が診療報酬を適切に引き上げ、医療機関の収益を改善することで、賃上げの原資を確保します。また、特に経営が厳しい中小規模の医療機関に対しては、財政的な支援を行うことが必要です。
2. 労働環境の改善:賃金だけでなく、労働時間の適正化や業務負担の軽減など、働きやすい環境を整備することで、離職率の低下と新規人材の確保を図ります。
3. 社会的認知の向上:医療・介護従事者の重要性を社会全体で再認識し、彼らの貢献に見合った待遇を提供することが求められます。メディアや教育機関を通じて、医療・介護の現場の実情を広く伝えることが重要です。
4. 労使間の対話促進:労働組合と経営陣が定期的に対話を行い、双方の立場や課題を共有することで、現実的な解決策を模索します。
まとめ
医療・介護業界の賃上げ問題は、労働者の生活や医療サービスの質に直結する重要な課題です。政府、医療機関、そして社会全体が一丸となって、この問題に取り組む必要があります。私たち一人ひとりが現状を理解し、声を上げることで、より良い医療・介護環境の実現に寄与できるでしょう。