いつのまにか退職金に関する税制改正が行われた
知らなかった。今回2025年年度の予算が衆議院で可決・通過しましたが、その中で関連法案として退職金に関する税制改正が行われていました。みなさんご存じでしたか?僕は全く知りませんでした。今、ネットで見ると報じられていたようですが、気が付きませんでした。
退職金に関する以下2つの税制改正がありました。今回はその1つが衆議院で可決したので、成立すると思われます。
(1)退職金課税制度の見直し
(2)確定拠出年金(DC)の一時金受取時の見直し(5年ルール」見直し)
1つ目の職金課税制度の見直しは今回は見送られました。これは現行の勤続年数が長くなると退職金を一時金で受け取ったときに税負担が軽くなる制度です。現行では勤続20年までは1年につき40万円が退職所得から控除されますが、20年を超える分は1年につき70万円が控除されます。
現行制度では例えば以下のようになります。
勤続20年以下場合の控除額(最低80万円)
勤続年数×40万円。例えば勤続20年ですと、20×40万円=800万円までが非課税
勤続40年場合の控除額
20年×40万+(40-20)年×70万円=800万円+1400万円=2200万円
勤続年数が長いほど税負担が軽くなる制度ですが、これは終身雇用を前提とした仕組みであり、政府は転職者が増えている今の実態を踏まえた税制に見直す方針を示していたそうです。
上記で同じ例で、もし、見直しで、勤続年数に関係なく1年につき40万円控除が適用されると
勤続年数40年×40万円=1600万円となり、非課税は1600万円までとなります。かなり違いますね。
もし、退職金が2200万円の場合、税金は次のように計算されます。
退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1/2 = 退職所得の金額
=(2200万円-1600万円)×1/2=600万円×1/2=300万円が課税対象になります。
従って、所得税は下記表より、
3,000,000円×10%-97,500円=300,000円-97,500円=202,500円となります。
現行では非課税ですが、もし改正されると、20万円以上の税金を支払うことになるかもしれません。
まさにサラリーマン増税ですね。
今回は2つ目の「確定拠出年金(DC)の一時金受取時の見直し(5年ルール見直し)」が衆議院で可決されました。5年が9年に延長されます。
iDeCoなどの確定拠出年金(DC)を一時金として受け取る場合の税制が見直され、これまでは、DCを一時金で受け取った後、4年空けて退職金を受け取れば、退職所得控除を重複して計算できる仕組みでした。しかし、今回の改正により、この期間が9年に延長されます。具体的には、iDeCoに20年加入し、会社に40年勤務した場合、60歳でDC一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取る際、これまでは4年の間隔で控除を重複適用できましたが、改正後は9年の間隔が必要となります。 従って、税金がかかる可能性が高くなりました。
いつのまにか、こんなサラリーマン増税が実施されています。皆さん気をつけてくださいね、
なお、確定拠出年金を後からもらう場合は5年ルールでなく、15年ルールになりますので、これも気をつけてくださいね。将来この15年ルールが19年に変わるという案があるようです。皆さん気をつけてくださいね(2025/3/9訂正)。